なぜ輸入靴はサイズが同じでも
履き心地がちがうのか?

履き心地がちがうのはなぜ?

私は子供の頃から靴では苦労をしてきました。足の長さに合わせて靴を選ぶと、きつくて履けないことが多かったのです。後から、もうひとサイズ大きいものを買うことになるのですが、大変履き心地が悪く、靴擦れもよくできました。

大人になったある日、外国製の靴を履いてみようかと靴屋で試着してみたときのことです。サイズの表示は同じなのに試着した靴はどれも履き心地がかなり違ったのです。私はとても驚きました。

不思議に思って調べてみますと、欧米では履く人の足の形をイメージして型を作り、その型に合わせて靴を作るということがわかりました。ですから、職人が手で作った靴なら、サイズが同じでも型が何通りもあるということらしいです。様々な体型の人種の住む国では、少しアバウトに作ったほうが都合が良いに違いありません。

ただ、そうなると外国製の靴はひとつひとつ履いてみなければ足にフィットするかわかりません。はじめは、それが面倒だと思ったのですが、運命の靴を探すのは宝探しのようで楽しいと感じるようになりました。外国の人の靴の試着は、日本人では考えられないほど入念だそうです。彼らも、きっと楽しんでいるのでしょう。

こういった理由から、輸入靴は、表示が同じでも形は靴ごとに違うのだと思います。では、実際の靴のどの部分が違うのでしょうか?

靴が足に合わないときに、甲高・幅広という言葉をよく耳にします。私の場合は、ひもを緩めてしまっても、まだ入らないほど足の甲の厚みがありました。つまり、私が履き心地が悪いと感じたとき、甲高の足が靴と合っていないということだったのです。

時は流れて、いつの頃からかEEEという表示の靴を目にするようになって事情が変わりました。幅の広い靴という説明がされており、試着してみると昔履けなかったサイズの靴がするっと入ってとても感動したのを覚えています。甲高の問題が解消できたのです。今で珍しくないEEEですが、当時は画期的な靴でした

これで、靴選びは大丈夫だと思っていたのもつかの間。しばらくすると、足のつま先が痛むようになりました。靴の幅にゆとりがあるので足が前方に押し込まれていくのです。ここで私は初めて、靴の捨て寸の存在を知りました。あとで調べてみると、足の指は歩行中に伸びるのだそうです。ですから、靴を選ぶときは、つま先に余裕のあるものを選ぶのです。 履き心地への道はなんと奥が深いのでしょうか。

国内で作られた靴でも、自分の足にぴったりと合うものを見つけるのは、あんがい難しいものです。海外製ともなればなおさらです。日本人の足の特徴はヨーロッパやアフリカの人々とは違いますし、靴を作る際の考え方もちがいます。このあたりが、輸入靴を選ぶときの難しさにつながっているのではないでしょうか。